有線から

嫌なことがあったってバイトはなくならない
私の心境にお構いなく店内は賑わってる

電話予約受けながらカレンダーを見れば
始まったばかりだった7月も半ばに差し掛かっている

不意打ちのBGM
君を思い出す瞬間は
日常の至る所に散らばっている

有線から二人の曲が流れている
ねぇもうすぐ花火大会だよ
もう理由もないと
連絡も出来なくなってしまったな
いつもかけ直してくれた君は優しい人

お店の前通り過ぎる人たちは
いつの間にか傘を閉じている
晴れ男の君の出勤時間

幸せになってなんて言わないでよ
私は君と、君は私と
幸せになりたかったのだから

何でもお見通しだった君なら
今の私の気持ちも分かって
待ってくれてるかも…なんて
もう理由があったって
連絡なんてしない方がいいよね
君のためにできる一番最後のことだね

誰かと幸せにやっているならいいと
心の底から思うには
まだまだ時間がかかりそうだ

有線から二人の曲が流れている
ねぇもうすぐ花火大会だよ
君と見た花火は今も心の中で咲き続けてる
今年の夏はこうやってやり過ごしていくよ

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