世界で一番近くにいた人

散々待たせた挙句渡すのは
間に合わせの未来予想図で
それでもあなたは隣へ座って
眩しげにそれを眺めてくれた

帰り路を急ぐ人の群れ
冬へと向かってく街
もう会えないという事実抱えた
私の心まで冷やしてゆくけれど

悲しみさえ愛しく思えるのは
この感情の底にあなたがいるから
どんな感情もその極端を担って
涙を流させたのはあなただったよ

ひどい話
あれからの私をとりまく
人も物も出来事も
やっぱりあなたじゃなきゃだめだと
実感させるためだけの道具のよう

何かと手を取り乗り越えて
それがいけなかったのかな
二人で強くなってきたから
離れる強さだけなくしていたね

大抵のことは
あなたの声、その手の温み
その笑顔で解決していたの
友達よりも見知らぬ誰かよりも遠い
世界で一番近くにいた人

世界を見つめる私の目には
いつしかあなたの目が混じって
鮮やかに塗り替えられた
耳にも舌にも肌にも心にも
あなたが混じって離れないよ

悲しみさえ愛しく思えるのは
この感情の底にあなたがいるから
友達よりも見知らぬ誰かよりも遠い
世界で一番近くにいた人
世界で一番近くにいる人

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