むかしばなし

ブランコを漕ぐ君の写真は
どこまでも子供だった
大人の君しか知らなかったから
嬉しかったんだ

僕の見ている夢は
君を裏切ってしまうかな
せめてもの償いができたらな

あなたはいつも誰かのために生きてきたからさ
次は自分のために生きて
なんて今更かな
絵本のむかしばなしはいいよ
あなたの昔のことを教えて
本当の昔話を聞かせてよ

規則正しく健康的なスピードで大人になって
目を離すと信号は点滅していた

あれは紛れもなく無償の愛で
私の足は決して私だけのものじゃない

軌道修正がきかないまま歩き疲れて
何となく後ろ暗くなって
涙も出てしまうのさ

完成された人間として映っていた君は未完成で
弱い弱い生き物だった君を
私が助けるよ

私の未来を輝かせようとすればするほど
増えていった君の傷跡を無駄にはしない

あなたはいつも誰かのために生きてきたからさ
次は自分のために生きて
なんて今更かな
私の昔話をするあなたの瞳は優しく
あなたの昔話を聞く私の目には涙を

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